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フェレス賞受賞作『モンキー裁判』著者に聞く、人間と動物の境界

今年のフェレス賞を受賞した『モンキー裁判』の著者、小森大鷹さんに独占インタビュー!

動物園の猿が殺人の容疑をかけられ、人間と同じ法廷で自らを弁護する――そんな衝撃的な設定のミステリーが、今年のフェレス賞を受賞した『モンキー裁判』だ。本作は単なる奇抜なアイデアではなく、人間と動物の関係、そして法と知性のあり方を問いかける深遠なテーマを孕んでいる。今回、本作の著者である小森大鷹さんに、創作の背景や作品に込めた思いについてうかがった。

編者

『モンキー裁判』、とても刺激的でした。動物が人間と同じ法廷で弁護するというアイデアは、荒唐無稽に思える一方、リアリティも感じました。実際に起こり得るのではないかと思わせる説得力がありましたね。

小森

ありがとうございます。みなさんもご存じのとおり、実際に人間と手話でコミュニケーションをとるゴリラが存在しました。動物の知能についての研究が進めば、将来的に「動物が法廷で弁護をする」という状況も決してありえない話ではないと考えています。『モンキー裁判』では、殺人の罪を着せられ、殺処分の危機に瀕した猿が、自らの知性を証明し、無実を訴える姿を描きました。これは単なるフィクションではなく、動物の命が人間の都合であっさりと奪われる現実を映し出す物語でもあります。

編者

なるほど。人間はしばしば動物を「管理できる存在」として扱っていますが、言葉を持ち、知性を示す動物が現れたら、もはや無視することはできませんね。

小森

そうですね。人間は動物をペットにしたり、実験に使ったり、あるいは娯楽のために利用してきました。しかし、私たちは本当に動物より賢いのでしょうか? 人間が作り上げた法律や倫理観は、果たしてどこまで普遍的なものなのか。そうした疑問を『モンキー裁判』の中で探求しました。

編者

本作はミステリーですが、法廷劇としてのリアリティもかなり重視されていますね。裁判のシーンは非常に緻密で、まるで実際の法廷を見ているようでした。法律の知識はどのように得たのでしょうか?

小森

執筆にあたって、動物関連の法律や法廷ミステリーの書籍を徹底的に読み込みました。また、実際の裁判の記録も研究しました。特に「動物に法的責任を負わせることができるのか」というテーマは、日本だけでなく海外の判例も参考にしましたね。動物を裁くことができるのか、それとも法は人間だけのものなのか……。

編者

『モンキー裁判』のラストはとても印象的でした。裁判の結末と、主人公の猿の未来には賛否が分かれると思いますが、この結末は最初から決めていたのでしょうか?

小森

実は、当初はちがうエンディングを考えていました。しかし、執筆を進めるなかで「人間と動物の境界」を問い直すうちに、いまの形が最もふさわしいと感じたんです。読者の方にも「もし自分がこの裁判の陪審員だったら?」と考えてもらえたらうれしいですね。

編者

さいごに、今後の創作活動についてお聞かせください。次回作の構想はありますか?

小森

はい。実は、次回作も「境界」にまつわるテーマを扱おうと考えています。今度はAIと人間の法律問題を題材にしたミステリーです。『モンキー裁判』とはまた違ったアプローチで、人間社会のルールについて掘り下げたいと思っています。

編者

それは楽しみですね! 本日はありがとうございました。


『モンキー裁判』は、単なる法廷ミステリーではなく、「知性とは何か」「人間とは何か」を問いかける一冊だ。小森大鷹さんの次回作にも注目したい。

書籍情報

📖 『モンキー裁判』
著者:小森大鷹
出版社:東京草原社
発売日:202X年X月X日
ISBN:XXX-XXXXXXX
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